やっぱり、海外で暮らしたい! 【海外生活10年突破】

語学留学、海外就職、国際結婚等、何の取り柄もない僕が外国で普通に暮せるようになるまでの10年の記録、そして、これからについて綴っています。

中国最大の都市 上海の現在地 vol.2

中国集中リスク回避へ 中小企業の東南ア進出、商社が後押し
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131017/biz13101711140003-n1.htm


上海には、ヴィトン、グッチ、アルマーニなどのブランドショップが並ぶ成金ストリート以外に、日本や欧米のストリート系アイテムを集めたセレクトショップが並ぶストリートがある。


エッジの効いた現地の若者達が、アメリカ、ヨーロッパ、日本のリアルなファッションアイテムを求めてやってくるのだ。


そこには、日本のビームス、ユナイテッドアローズ、シップスなど、日本の最先端のセレクトショップのアイテムが並ぶ。週末には、お洒落な若者達で溢れかえっていた。



この2年で、そんな風景も一変してしまった。


セレクトショップの並んでいたストリートが、
シャッター街になっていたのである。



久しぶりに訪れた私は、馴染みの店で秋冬物を買いに行った。
店に着く前に何軒か、あったはずの店がなくなっている。
残っているのは、チャイナドレスやスーツの仕立て屋と
あからさまに偽物と分かるコピーを売っている店くらい。
完全に様変わりしていた。



しぶとく残っていたお店の人に聞いてみた。

僕「近くにあった店がなくなってしまったが、どうなったの?」

店の人「物が手に入らなくなって、みんな店を畳んだよ。」

僕「規制が厳しくなったのか?」

店の人「違う。外国の注文は他の国に行ってしまった。」
「この辺は工場畳んで、商売変えしてるよ。」


これまで日系アパレルメーカーのOEM工場も多くが、
江蘇省という上海近郊に集中していた。
近年は人件費の高騰で、
以前ほど儲からなくなったというのは聞いていた。
そこに日本のデフレの煽りを受けて、
中国生産では採算が合わなくなってきたのだ。


これまで、セレクトショップに並んでいた商品は正規に販売される物ではない。
工場がメーカーに内緒で多く作ったり、
少し欠陥のある商品を横流しで仕入れて売っていたものだ。


北か内陸部には、工場がまだ残っているのだろうが、
以前のようにビームスやユナイテッドアローズなどのセレクトショップの商品を
格安で手に入れることは出来なくなってしまったのだ。



上海の渋谷と言われる徐家匯エリアのショッピングモールには、
香港のアパレル会社が販売代理をするビームスの正規品が並んでいた。
価格は日本で買うよりも高い。
それでも、確かに買って行く姿を見かける。
買って行くのは20代の若者だ。



時代は変わった。
以前は、日本よりも安く買えることに喜びを感じていた。
今は、高くても欲しいものを買うことに喜びを感じている。



以前、中国ではニセモノ、流れ物の市場の規模が大きく、
大きなウェイトを占め、庶民の生活を支えていた。
今、彼らは、UNIQLO、ZARA、H&Mで買うようになったのである。


日本人からすれば当たり前の事だが、
現地を知る者にとって、これはスゴイ変化なのだ。


以前は、いくら良いモノを作っても売っても、誰も買ってくれなかった。
裏路地には入れば、工場横流しの同じ物が半額以下で売られているのだから。
御丁寧に商品タグまで付いているものまであり、品質も全く変わらない。


中国のコスト増で、状況が一変した。


ようやく、真っ当に勝負出来る環境が整ってきた。
本当の中国ビジネスは、これから始まるのである。