中国が東シナ海に設定した防空識別圏に思うこと:中国は世界のルールを変えたいのではないだろうか。
南シナ海:中国が次に防空識別圏を設けようというのはこんなところ
http://blogos.com/article/74715/
中国が東シナ海に設定した防空識別圏(ADIZ)は、早くも形骸化した感がありますね。
もちろん、馬鹿にしたり油断したりするのはご法度ですが、
これほど米国に鮮やかに出鼻を挫かれるとは思ってもみなかったでしょう。
何度も言いますが、自国防空のための「識別圏」であるはずのADIZを、
さも領空であるかのように強制力を他国に行使しようという
ランドパワー的発想が受け入れられるわけがありません。
海においても空においても「航行の自由」は米国の逆鱗で、
これにうかつに触ることになった今回の件は明らかに北京の失策と言えるでしょう。
日本だけを脅すつもりだったのかもしれませんし、
A2ADの一環として米軍を牽制する意図もあったのでしょうが、
米国は甘くなかったですね。
いずれにしても、航行の自由を侵害する相手に対し、
米国はまったく容赦しない意思を示しました。
これは日本の国益にも一致しています。
中国が東シナ海に設定した防空識別圏(ADIZ)が大きな話題になっており、
中国は無法者というのが日本のニュースの論調になっているのかなあと思います。
ただ、最近の中国の行動を見ていて思うのが、
中国は無法者なのではなくて、
彼らはルールを変えたいと思っているのではないかと。
結局のところ、今のルールは第2次大戦後に
アメリカを中心とする戦勝国によって作られたルールであり、
中国は戦勝国とはいえ、そのルール作りの中心にはいなかった。
ビジネスやスポーツの世界でも、
ルールを作る奴が一番強い。
かつて、日本のスキージャンプが
世界的に圧倒的に強い時期があったが、
ルール変更によって撃沈した。
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今の世界のルールの多くが
アメリカが中心で作られたものである以上、
中国がどう動こうと、
アメリカに有利な解釈になり、
無法者と言われてしまう。
日本の尖閣問題についても、
日本が領土としたのは、清の時代の話だ。
それまでは、ずっと中国の領土だったわけだ。
そして、今の中国の姿も、
この数百年の間に大きく様変わりしているし、
他の国も同様である。
時代が変われば国のあり方も変わる。
歴史を振り返れば、当然のことである。
1つの国がずっと世界の覇権を握り続けていたことはないのである。
これから、アメリカの力が弱くなって行けば、
そのうち世界の国についてのルールが変わるかもしれない。
いずれは、間違いなく変わるだろう。
だから、一方的に中国を毛嫌いするのは、
少々偏った思考ではないかと思うのだ。