なぜ台湾人には、 日本の温泉旅館がウケるのだろうか。
台湾最大級のブログサイト「蕃薯藤」で、
加賀屋が「高級温泉宿泊施設トップ10」で、
トップに選ばれている。
http://toyokeizai.net/articles/-/24539
なぜ台湾人には、
日本の温泉旅館がウケるのだろうか。
台湾の加賀屋は、
台湾の不動産会社と日本の加賀屋の合弁会社により運営されている
純和風の温泉旅館だ。
一泊17,000~20,000台湾ドル(1台湾ドル:3円程度)で、
他の温泉旅館と比べてもダントツに高い。
場所も、温泉街の並びにあり、
周辺には他の旅館が並んでおり、
ダントツに立地が良いわけではない。
温泉自体でいえば、
絶景の露天風呂があるわけでもない。
お風呂だけなら、ココよりいい旅館はいくつも存在する。
食事も、台北市内に行けば、
加賀屋よりも高級な料亭は数多くある。
台湾からの日本への観光旅行者数も凄まじく多い。
2013年1〜6月に日本を訪れた観光客の数は100万を超える。
http://japan.cna.com.tw/news/atra/201307250001.aspx
仮に、同じペースで行けば年間200万人に到達するが、
台湾の人口2300万であることを考えると、
実に、10人に1人が、1年に1回、日本を訪れている計算になる。
日本人的には、もはや国内旅行の感覚である。
これだけ頻繁に日本を訪れる台湾の人々にとって、
台湾国内にいるときまでもリアルな日本を体験したい
という需要が存在するのは不思議である。
しかも、加賀屋の施設や料理がダントツなわけではない。
「日本の加賀屋であること」だけが特別なのである。
リアルな日本の旅館を体験できること、
すなわち、日本の「お・も・て・な・し」が
台湾の人々の心に刺さるということなのである。
中華系の人たちは、金銭感覚が鋭く、
費用に対するバリューをしっかりと見極めるタイプの思考が強く、
お得感をすごく重視する傾向にある。
その台湾人が、
日本の「お・も・て・な・し」に対して
喜んで、これだけの対価を払っているのである。
価値として認めているのである。
これって、なかなかスゴいことだと思うのだ。
以前は、日本のサービス業が海外に進出すると、
価格が高いといって敬遠されることも少なくなかった。
目に見えないサービスを付加価値として認めてもらえなかったのだ。
だから、割高感だけが印象として残ってしまっていた。
その、「お・も・て・な・し」がウケるのであれば、
日本のサービス業は海外展開できるということになる。
日本では、新しいテクノロジーを使ったサービスばかりに目がいくが、
意外と、こういうアナログな世界のほうが日本の良さを体現できて、
海外で通用するグローバルなビジネスになるのかもしれない。