やっぱり、海外で暮らしたい! 【海外生活10年突破】

語学留学、海外就職、国際結婚等、何の取り柄もない僕が外国で普通に暮せるようになるまでの10年の記録、そして、これからについて綴っています。

会社を辞めて中国留学 vol.6

僕らは外に出て、他にも宿舎があるというので直接行って空きがないか聞きに行った。
刑務所とは比べ物にならない綺麗な鉄筋コンクリートの建物だった。
入口の管理人に空き部屋がないか尋ねた。
案の定、「ない」と言われた。


当時の中国は、まだ昔の名残りがあって、モノがあっても売らない、面倒だからしないってことが多々あった。
散々文句を言われてようやく思い腰を上げて、仕方なく面倒そうな表情を浮かべながら仕事をする。
一事が万事、そんな調子だった。



ちょうど、そこに一人の日本人男性が現れた。
「どうも。」彼女の知り合いだった。


彼女「今、この人の部屋探してんねんけど、空いてない?」
彼「俺の部屋空いてるけど。」


管理人に確認すると、渋々こう言った。
「こいつの部屋に空きがある。でも、今日は仕事の時間終わりだ。明日個出直せ。名前を記録しておくから、これで問題ない。」


僕が住居者名簿に名前を書き入れると、管理人は名簿を奪い取って、机にしまうと去って行った。破れそうになるほど力いっぱいに奪い取られた。


「怒ってるのか?この人。」そう思った。
隣で二人が笑っていた。


当時、コンビニに行ってお金を渡そうとすると、むしり取るように取られ、釣り銭は自分の目の前に放り投げる、これが中国のどこにでもある風景だったのだ。



これで、なんとか明日からの住居は確保したが、1日はあの刑務所のようなところで過ごすことになった。



あの時、彼らに出会わなかったら、挫けて帰っていたのではないかと思う。ルームメイトとなった彼は半年近く学校に通ったあと、現地の日系企業に就職した。子供が産まれ、今は日本で暮らしている。そして、我が恩人の彼女は、現地で結婚、今も上海暮らしている。


後に聞いた話だが、
「言葉は全然出来ない、頼りないし、大丈夫か??」
これが、彼らの僕に対する第一印象だったらしい。